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刺身が肴だと、無性に日本酒が飲みたくなりませんか? |
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古来より魚を食してきた日本人。海の近くに住む人はもちろん、陸の奥地にいる人も魚への憧れは強く、塩漬けにしたり干したりと、なんとか口にできるようにと工夫を凝らしてきました。
そんな魚好きの日本人が何よりも好きな食べ方が刺身。流通が発達した現代では、鮮度のいい旬の魚を日本全国どこに住んでいようと口にする事ができるようになりました。 |
しかし、いくら流通が発達したといっても、毎日刺身を食べる方はそう多くないはず。やっぱりそれなりに財布に厳しいですからね…。だから食卓に刺身が登場したときの嬉しさと言ったら!そして刺身といえばやっぱり日本酒、これは理屈云々というよりも日本人が持つDNAが自然とそう思わせるんじゃないか、最近はそんな風に思うようになりました…。
でも、刺身だったどんな日本酒でもいいかといったら大間違い、それぞれの魚には相性の良いお酒、相性の悪いお酒があるんです。ここでは、知っておくと役に立つ刺身に合う日本酒についてご紹介します。基本を抑えておけば大丈夫。事前に準備しておいて、いざ刺身が食卓に登場した時に楽しい食の場を過ごせるようお役立てください。
新潟清酒検定金の達人 美酒考房西巻酒店・店主 西巻 進 |
【白身の魚】 【赤身の魚】 【青魚】 |
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白身の魚 |
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上品で淡白な味わいが特徴の白身魚。代表格である鯛を筆頭に、ヒラメ、スズキ、キスなどがあげられます。コラーゲンを多く含む品種が多く、そういったものは一般的に身は柔らかめです。また、脂分の含有量は赤身魚よりも少ないものが多いのですが、近年人気が過熱しているノドグロなどは、マグロ並みに脂がのっています。また赤身魚によく間違われますが、餌の甲殻類の色素から身がオレンジ色になる鮭は、じつは白身魚です。
白身の魚は基本的には淡白な味なので、刺身にあう日本酒は味の強すぎない淡麗&さわやかなものが向いています。ただし、ノドグロや鮭(サーモン)など脂分の多い魚は、同じ淡麗でも芯の通ったしっかりした味の要素を持つお酒を合わせるようにしてください。 |
金目鯛 |
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淡白な味の中に脂の旨みが加味され、贅沢な味が愉しめる高級魚金目鯛。口の中に旨みの余韻が長く残るのが特徴です。
この旨みを、いったんサッパリとリセットしたいなら辛口の淡麗な日本酒が最適です。逆に調和させたいのなら、柔らかな甘みのある生酒系の日本酒がオススメです。 |
<オススメ銘柄> |
清泉 吟醸
(きよいずみ ぎんじょう) |
越の鶴 本正specially made
(こしのつる ほんしょう) |
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■価格:720ml 1080円 1.8L 2264円
■味:すっきり辛口
■規格:吟醸
■蔵元:久須美酒造 (長岡市)
■別肴なら:野菜炒め
『夏子の酒』モデル蔵産、香りを抑え日常食生活に重きを置いた定番酒。 |
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■価格:720ml 1685円
■味:柔らか微甘口
■規格:純米吟醸生詰め
■蔵元:越銘醸 (長岡市)
■別肴なら:鶏のトマトソース煮
販売店超限定、蔵伝統の名を冠す地産米にこだわった逸品
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鮭(サーモン) |
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近年生食で食べられるようになり、脂ののった旨みとコクで一躍刺身の一番人気に躍り出た鮭(サーモン)。大衆的な価格も魅力のひとつです。
軽く酸味を持ちますので、調和をさせたいのなら同じく酸が特徴的な山廃の微甘口純米酒で。逆にサッパリさせたいのならのなら、しっかり辛口の日本酒がオススメです。 |
<オススメ銘柄> |
萬寿鏡 J55 Yamahai
(ますかがみ じぇいごーごー やまはい) |
久保田 千寿
(くぼた せんじゅ) |
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■価格:720ml 1500円 1.8L 3000円
■味:コク強い微甘口
■規格:純米吟醸
■蔵元:マスカガミ (加茂市)
■別肴なら:ギョーザ
『新潟で一番カッコいい』酒を醸す蔵のコクあり酒、新しい山廃を表現します。 |
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■価格:720ml 1166円 1.8L 2624円
■味:キリッと辛口
■規格:吟醸
■蔵元:朝日酒造 (長岡市)
■別肴なら:寄せ鍋
新潟=淡麗辛口を世に広めた先駆者、食中酒の適正の高さは秀逸。 |
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赤身の魚 |
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血合い肉を多く含み、皮が厚く身が赤い魚が赤身魚。回遊魚のマグロを筆頭に、カツオ、ブリなどがあげられます。遠洋を高速で泳ぐため大量の酸素が必要となり、その酸素を効率よく利用するために含むタンパク質成分が赤い色のため、身が赤くなります。白身魚にくらべて脂肪分や旨み成分が多く、濃厚な味となるのが特徴です。
生でも加熱してもしっかりとした味を持つ赤身の魚。合わせる日本酒も綺麗すぎるお酒では味が負けてしまうので、お酒の濃淡は問わず自己主張の強いものをお選びください。 |
マグロ(トロ) |
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刺身のご馳走の代表格がマグロのトロ。甘みと濃厚さは別格で、口の中で溶けても尚その味を主張し続けます。
お酒を考える場合はぜひマグロの酸味を念頭に。調和させたいなら、酸のしっかりとした辛口純米酒で。口中のリセット効果を求めるなら、同じく酸を含む香りの強くない本醸造酒系がオススメです。 |
<オススメ銘柄> |
松乃井 特別純米
(まつのい とくべつじゅんまい) |
麒麟山 吟醸辛口
(きりんざん ぎんじょうからくち) |
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■価格:720ml 1339円 1.8L 2646円
■味:コクあり辛口
■規格:特別純米
■蔵元:松乃井酒造場 (十日町市)
■別肴なら:ギョーザ
銘醸地魚沼の最後の隠し玉、高い酒造技術は大手も驚くほど。 |
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■価格:720ml 1296円 1.8L 2700円
■味:爽快系辛口
■規格:吟醸
■蔵元:麒麟山酒造 (阿賀町)
■別肴なら:秋刀魚の塩焼き
食中酒にこだわり吟醸香をカット、長飲み飽きしない新潟県の銘酒。 |
ブリ |
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養殖ものがあるため年間通じて楽しめますが、冬の寒ブリといえば日本海の刺身の王様。濃厚な脂と甘みの強い味が特徴です。
脂分との調和を計るなら甘さと辛さが中間の純米酒で。ブリの甘みを引き立てたいなら骨太な日本海側の蔵の辛口酒がオススメです。 |
<オススメ銘柄> |
参乃越州
(さんのえっしゅう) |
銀の翼 特別本醸造
(ぎんのつばさ とくべつほんじょうぞう) |
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■価格:720ml 1458円 1.8L 3251円
■味:ふんわり系中口
■規格:純米吟醸
■蔵元:朝日酒造 (長岡市)
■別肴なら:ハンバーグ
優しい口当たりながらしっかりした旨み、肉料理の脂にも対応できます。 |
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■価格:720ml 1004円 1.8L 2106円
■味:ズドンと辛口
■規格:特別本醸造吟醸
■蔵元:原酒造 (柏崎市)
■別肴なら:肉じゃが
辛さの中に感じる旨み、これぞ長飲み好き新潟ケンミンが求める味! |
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青魚 |
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正式には赤身魚に属するが、背が青い色をすることから別くくりにされる場合が多い“青魚”。アジや秋刀魚、サバ、イワシなど、赤身の回遊魚に対し、小型で比較的近海を回遊します。近年それらに含まれるDHAやEPAなどにより、健康効果が高いことでも知られます。
古くから大衆魚として日本人に食されてきたため日本酒との関連も深い青魚。ただし痛みやすいことから、加熱しない生食の場合は酢や塩で〆たり、味噌と一緒に食べたりなどします。そこで、魚との相性そのものよりも、調味料との相性で日本酒を選べば、大きく失敗することはないでしょう。 |
秋刀魚(さんま) |
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秋を代表する青魚の秋刀魚。圧倒的に塩焼きを食べる機会が多いかと思いますが、トロッとした脂ののった食感の刺身もまた格別です。
お酒を考える場合は薬味の生姜を考慮し、やや辛さ控えめでコクのあるものを。また、お燗も美味しい純米酒も、じっくり楽しむのなら最適です。 |
<オススメ銘柄> |
夏子物語 純米吟醸
(なつこものがたり じゅんまいぎんじょう) |
田友 特別純米酒
(でんゆう とくべつじゅんまいしゅ) |
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■価格:720ml 1441円 1.8L 2880円
■味:上品やや辛口
■規格:純米吟醸
■蔵元:久須美酒造 (長岡市)
■別肴なら:ニラ玉
『夏子の酒』モデル蔵産、お米の旨みを前面に押し出した気品ある酒。 |
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■価格:720ml 1350円 1.8L 2700円
■味:優雅系やや辛口
■規格:特別純米
■蔵元:高の井酒造 (小千谷市)
■別肴なら:クリームシチュー
吟醸仕込み専用米仕込み、お燗の優雅な旨みは原料米特性のおかげ。 |
アジのなめろう |
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新鮮なアジが、たたいて混ぜたネギと味噌の風味で何倍も旨くなるアジのなめろう。漁師料理を発祥としますが、広く庶民に愛されています。
濃厚な味と調和させるならこれぞ“酒飲みの酒”と評判の辛口酒で。また、味噌の塩味をベースに考えるなら、バランスの取れた食中辛口酒がオススメです。 |
<オススメ銘柄> |
松乃井DYNAMITE DRY
(まつのいダイナマイトドライ) |
麒麟山 純米吟醸辛口
(きりんざん じゅんまいぎんじょうからくち) |
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■価格:720ml 1458円 1.8L 2916円
■味:パンチの効いた辛口
■規格:清酒
■蔵元:松乃井酒造場 (十日町市)
■別肴なら:焼き鳥
甘く心地よい香りにパンチの効いた辛口味、なめろうの味と化学反応します。 |
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■価格:720ml 1534円 1.8L 3175円
■味:上品系辛口
■規格:純米吟醸
■蔵元:麒麟山酒造 (阿賀町)
■別肴なら:豚肉のしょうが焼き
米の旨みを生かしつつ食材の旨さも引き上げる、麒麟山の本領発揮! |
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